家族信託で父所有の遠方のアパートの管理と相続方法を定めたケース

家族信託で高齢の母の財産管理と相続先の指定を行うケース

状 況

不動産(アパート)
青森・・・土地400㎡ 2000万円、建物500万円(築30年)
金融資産・・・3,000万円 

父母は青森の実家で暮らしていましたが 、高齢の両親だけで雪国で生活することに不安を覚えた長女が 千葉市の自分の家に呼び寄せ、3人で暮らしています。次女もすぐ近所に住んでおり、家族仲は良好。青森の自宅は引っ越す際に売却して処分してきましたが、父名義のアパートが青森にあります。立地条件が良く入居者も絶えない優良物件ですが、築30年の木造アパートのため、そろそろ建替えや、大規模修繕が必要になってくるかもしれないと考えています。

しかし、今のところ長女も次女もアパート経営にあまり興味がなく、場合によっては売却も考えていますが、最近父の物忘れが激しくなってきたため、今のうちに対策をしておきたいと考えています。

家族関係

・父(87歳)

・母(82歳) ※父母は長女宅で同居中

・長女(57歳) 千葉市在住

・次女(54歳)・次女夫 千葉市在住

解決策

所有者である父を委託者、次女を受託者、実際に権利をもつ父を受益者とし、父のアパート(土地・建物)と金融資産のうち1500万円を信託財産とする信託契約を締結する。

委託者と受益者が父であり、名義だけを受託者である次女とする信託契約としているため、不動産取得税、贈与税や譲渡所得税などは発生しない。

信託を利用することで、徐々に判断能力が低下しつつある状態でも、数年にわたっての日常生活費の送金、自宅の管理や修繕、高齢者施設へ入所後の処分などの行為も信託契約で決めた目的に従い、受託者である長女の判断で母の財産を自由に処分、活用することができる。

信託を利用することで、徐々に判断能力が低下しつつある状態でも、数年にわたっての日常生活費の送金、アパートの管理や修繕、高齢者施設へ入所後の処分などの行為も信託契約で決めた目的に従い、受託者である次女の判断で父の信託産を処分、活用することができる。ただし、長女も手続きに関与できるように長女を受益者代理人(父の代理人)として信託に関与できる契約にしておく。

アパートの物件管理や家賃管理、修繕などは受託者である次女の判断で手続きを行うことができるが、売却する際には受益者代理人である長女の承諾も必要な旨をあえて定めておくことで、姉妹揃って手続きに関与することになり、次女の独断で勝手に処分することができなくしておくことができる。この場合であっても、父の承諾は不要なので、父がその時点で認知症になっていたとしても問題なく、売却することができる。

最終的に父が他界した場合には、死亡時に残った信託財産(アパートと金融資産、アパートを売却していた場合にはその売却代金)を長女・次女が2分の1ずつ承継する。