父死亡後も信託を終了させず、財産を相続する母の財産管理を引き続き行ってもらうケース

父死亡後も信託を終了させず、財産を相続する母の財産管理を引き続き行ってもらうケース

状 況

■ 不動産(自宅)・・・土地2000万円、建物500万円
■ 不動産(アパート)・・・土地4000万円、建物1500万円 
■ 金融資産・・・2,000万円

船橋市内で母と暮らす父は自宅の他にアパートを所有しています。年金の額は父母ともにそれほど多くはないため、アパートの家賃収入が主な収入源となっている状態です。父は高齢になってきたため、一人っ子である長男に財産管理を任せたいと思っていますが、自分の死後、長男にそのまま財産管理を継続してもらい、母の生活や介護などに必要な財産管理も引き続きお願いしたいと思っています。

家族関係

・父(87歳)

・母(82歳)

・長男(52歳)

解決策

所有者である父を委託者、長男を受託者、実際に権利をもつ父を受益者とし、自宅とアパートの不動産のすべてと預貯金のうち1000万円を信託財産とする信託契約を締結する。

委託者と受益者が父であり、名義だけを受託者である長男とする信託契約としているため、不動産取得税、贈与税や譲渡所得税などは発生しない。

信託を利用することで、徐々に判断能力が低下しつつある状態でも、父が亡くなるまでずっとの日常生活費の送金、自宅の管理や修繕、高齢者施設へ入所後の処分などの行為も信託契約で決めた目的に従い、受託者である長男の判断で父の財産を自由に処分、活用することができる。

さらに、信託契約で母を第二受益者に定めておくことで、父が死亡した際には母が受益者となり、そのまま父が残した財産を利用して信託を継続させることができる(「受益者連続型信託」といいます。)。

最終的に母が他界した場合には、死亡時に残った信託財産(不動産と預貯金、自宅を売却していた場合にはその売却代金)は長男がすべて取得することになる。