夫婦に子がなく姪に財産管理をしてもらうケース

夫婦に子がなく姪に財産管理をしてもらうケース

状 況

■(夫)
・不動産(自宅)マンション4000万円(持分3分の2)
・不動産(駐車場)土地2500万円
・金融資産4000万円
■(妻)
・不動産(自宅)マンション4000万円(持分3分の1)
・金融資産3000万円

船橋市内で母と暮らす父は自宅の他にアパートを所有しています。年金の額は父母ともにそれほど多くはないため、アパートの家賃収入が主な収入源となっている状態です。父は高齢になってきたため、一人っ子である長男に財産管理を任せたいと思っていますが、自分の死後、長男にそのまま財産管理を継続してもらい、母の生活や介護などに必要な財産管理も引き続きお願いしたいと思っています。

家族関係

・夫(75歳)

・夫の兄(78歳)

・夫の弟(67歳)

・夫の弟(63歳)

・妻(78歳)

・妻の兄(4年前に他界)

・妻の弟(72歳)

・妻の兄の子(姪)(51歳)

解決策

所有者である夫を委託者、姪を受託者、実際に権利をもつ夫を受益者とし、自宅マンションの持分と駐車場の不動産のすべてと預貯金のうち1000万円を信託財産とする信託契約を締結する。

委託者と受益者が夫であり、名義だけを受託者である姪とする信託契約としているため、不動産取得税、贈与税や譲渡所得税などは発生しない。

また妻と姪の間で、別途信託契約を締結し、所有者である妻を委託者、姪を受託者、実際に権利をもつ妻を受益者とし、自宅マンションの持分と預貯金のうち1000万円を信託財産とする信託契約を締結する。

夫妻ともにまだ元気だが、今後、判断能力や身体機能の衰えから介護・療養等の必要性が増してきたら、介護施設の入居金や毎月の使用料などを考慮して、金銭を追加で信託することも検討する。

信託を利用することで、徐々に判断能力が低下しつつある状態でも、数年にわたっての日常生活費の送金、自宅の管理や修繕、高齢者施設へ入所後の処分などの行為も信託契約で決めた目的に従い、受託者である姪の判断で財産を自由に処分、活用することができる。しかもそれぞれと信託契約を締結しているので、夫・妻の信託事務を同時に行うことができる。マンションは共有になっているが、姪がそれぞれの持分の信託を受けているため、実質的には姪一人で売却や賃貸などの手続きを行うことができる。

最終的に夫・妻が他界した場合には、死亡時に残った信託財産(不動産と預貯金、不動産を売却していた場合にはその売却代金)は姪がすべて取得することになる。

また、信託以外の財産については、夫と妻がそれぞれ公正証書で遺言書を作成して財産の承継先を指定しておくことで、自分の配偶者と兄弟による遺産分けの話し合い(遺産分割協議)を回避。将来的な遺産争いを予防することができる。