子ではなく近くに住む孫に受託者になってもらうケース

子ではなく近くに住む孫に受託者になってもらうケース

状 況

柏市内のマンションで一人暮らしをする母を持つ長女からの相談です。

母には亡夫から相続した時価3000万円の自宅マンションと3000万円の預貯金があります。母は足腰が弱く車椅子生活になっているが、娘が2人とも海外で生活してるので娘たちが介護することができないためマンションから近隣の老人ホームに移って生活している。母名義のマンションには、現在孫夫婦が暮らしているが、子どもが生まれると手狭になってしまうので、子どもができたら一戸建ての住宅を購入して引っ越す予定です。近くに住む孫に母の財産管理を任せられないかと考えています。

家族関係

・父(2年前に他界)

・母(75歳)(自宅近くの老人ホームに入居中)

・長女(52歳)(海外居住)

・次女(46歳)(海外居住)

・孫(28歳)(祖母マンションに居住)

解決策

所有者である母を委託者、孫を受託者、実際に権利をもつ母を受益者とし、自宅マンションと預貯金2500万円を信託財産とする信託契約を締結する。

委託者と受益者がで母あり、名義だけを受託者である孫とする信託契約としているため、不動産取得税、贈与税や譲渡所得税などは発生しない。

まだ若い孫に多額の財産管理を任せるのには少し不安もあるので、長女・次女が受益者代理人(母の代理人)に就任し、信託財産の資産状況について長女・次女に定期的に報告するよう定めておき、受託者である孫に対する監督機能も定めておく。

またマンションの売却についても、受益者代理人の承諾が必要な旨を信託契約で定めておくことで、孫だけではなくと長女・次女を含めた3人で売却の判断を下すことができる。この場合であっても、母の承諾は不要なので、仮に母の認知能力・判断能力が弱まっていても手続きを進めることができる。

また、母死亡後は長女・次女を第二受益者に定めておく(受益者連続型信託)ことで、引き続き孫が受託者として信託を継続することができる。母の死亡時点でマンションをまだ売却していなかった場合は、その後マンションを売却することで信託が終了し、売却代金とその他の預貯金を長女・次女が受け取ることで信託が終了することとしておく。

これにより海外に居住する娘が直接関与することなく、近隣に住む孫が受託者として各種の手続きを行うことができるので、母の財産管理やマンション売却、信託預貯金の承継をスムーズに行うことができる。